日本学術会議の原点を消そうというのか

 菅首相の日本学術会議会員候補「任命拒否」は粗雑で無法なやり方である。そこへ、ある元防衛大臣が「学術会議の考え方は時代遅れで、非常識だ」という。これは、“「軍産共同」のつぎに「軍学共同」という、科学を戦争への応用に踏み込んだ安倍政権の遺産を引き継ぐ”という「目的」に反するというのである。とんでもない軍拡路線への時代遅れ発言である。

ノーベル物理学賞の益川敏英氏は、「菅首相が、こんな乱暴なことをした、という事は、歴史上長く糾弾されるだろう。戦争の反省の上に作られた、日本学術会議に汚点を残すものである」とのメッセージを発信された。その通りである。
 世界的な科学雑誌『ネイチャー』やアメリカの科学誌『サイエンス』も、「社説」などで日本政府に批判的な目を向けている。日本の各界の批判・抗議はやまない。

 日本学術会議法の前文は、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される」と書く。この法律ができた翌年1949年『日本学術会議の発足にあたっての科学者としての決意声明』は、「われわれは、これまでのわが国の科学者がとりきたつ態度について強く反省し」、科学が平和と福祉の増進に役立つことを誓った。

 いま、菅政権内や自民党が、日本学術会議のあり方などや行革対象論を繰り出したことは、このタイミングでは論点そらしである。それはまた、首相の「任命拒否」論拠が崩壊していることを自ら証明しているようなものだ。それでも首相を援護射撃し、無理を押し通そうとしていることに、この政権の危険性がある。

 ここに至って、菅政権の狙いがハッキリしてきた。「学問の自由」をないがしろにし、科学を平和と福祉の増進に役立てようとする日本学術会議の原点を消そうとする新たな政治的な動きとみなくてはならない。そして鉾先は、やがて国民に向かうことは疑いない歴史の教訓である。

 悲惨な結果を生みだしたあの戦争の教訓を学びいかすことは、現代日本の差し迫った課題になっている。歴史を最高の教師として学び、いまこそ日本学術会議の精神を高く掲げるときである。「任命拒否」問題は、国の行方を問う新たな問題である。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)